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Posted: 6 Mar, 2022 @ 12:18am
Updated: 29 Apr, 2023 @ 3:31am

Early Access Review
モンスター軍団の猛攻から30分間生き延びる2Dアクションゲーム。いつの瞬間からか唐突にバズり、「ヴァンサバ系」なる一大ジャンルを築き上げるに至った。とはいうもののヴァンサバ自体、隠し要素の多さや特異なユーモア等、単純にゲームプレイ部分のみでは語れない奇妙な魅力を内包する非常にアンバランスな作品であるゆえ、たんなる雨後の筍以上のポテンシャルを持つ後追い作品にはそうそうお目にかかれないのだが。

本作はゲームプレイの導線の引きかた、誘導がうまい。
まず最初に使用できるキャラクターのアントニオ、実はこいつがあんまり初心者向きではない。攻撃のタイミングが限られているうえ、横方向に強いが縦方向にはめっぽう弱いムチという武器はクセが強く、「敵を避けるために逃げる」「攻撃を当てるために接近する」という動きを交互に繰り返す、ヴァンサバの基本的な立ち回りをイヤでも覚えさせられるのだ。ゴールドを貯めて自動追尾攻撃のイメルダ、貫通能力を持つパスカリーナを解放したとき、「アントニオに比べてなんて使いやすいんだ!」と思うことだろう。その後も次々とキャラを開放し、多数の武器を使いこなし、ヴァンサバというゲームに慣れたころ…ふと、「攻撃力MAX+50%のアントニオって、じつはけっこう強いんじゃないか?」と気づいたりするわけである。
最初にプレイできる狂乱の森というステージも、実はけっこう難しい部類に入る。ヴァンサバというゲームは序盤の経験値稼ぎが特に重要で、早いうちにきっちり強化できないと中~後半に成す術もなく圧し潰されてしまうのだが、このステージは雑魚が大量に出現する「稼ぎ時」が限られており、ペース配分を考えないといつまでも弱いまま逃げ回るしか手がなくなってしまう。また多数の強化アイテムを拾えるのが最大の特徴だが、アイテム同士の間隔が非常に離れており相当な距離を移動する必要があるため、それも経験値の稼ぎ時を逃がす要因となっている。それなりにヴァンサバに慣れていないと攻略が難しく、「最初のステージだから一番簡単とは限らない」というような、既存のゲームのセオリーが通用しないことを教えてくれる。
昨今のゲーム制作において無視できない「動画映え」についてだが、これも一筋縄ではいかない。宝箱の派手な演出はたしかに動画映えするが、それ以外の通常のゲームプレイ部分を30分も張りついて見ていて面白いかというと、だいぶ疑問がある。むしろ、「これ本当にそんな面白いか?」と思う視聴者のほうが多いだろう。そしてリーズナブルな価格を見て、「この程度なら…」と軽い気持ちで購入し、沼にハマる…むしろヴァンサバにおいては動画映えし過ぎないこと、「動画だけ見てれば充分」という内容ではない…実際にプレイしないと面白さがわからない部分、購入しやすい価格が相乗効果となってヒットに繋がったのではないか、という気がする。

本作は「あのキャラとこの武器を組み合わせたらどうなるか」「この武器とこのアルカナで強力なシナジーを発揮できないか」というようなビルド構築を考える楽しみがある。いうなれば、ハクスラRPGで50時間とか100時間かけてレベルを100まで上げ、必要な装備を掘り尽くしてようやく到達できるカタルシスを、わずか30分でインスタントに味わえるわけである。これが面白くないわけがない。
ゲームプレイの敷居が低いのも、ついつい遊んでしまう理由の一つだ。最近のゲームは複雑なものが多いので、前回どこまで進めたか容易に思い出せないとか、下手をすると基本操作さえ毎回復習する必要がある、一回のプレイで接種するカロリーが重い…「重い腰を上げねばならない」ために、つい「プレイ」ボタンを押すことを躊躇ってしまうものが多いのだが、本作はそういう面倒とは無縁だ。「寝る前にちょっとワンプレイ」で躊躇なく起動できる手軽さがある。それを何度か繰り返しているうちに、いつの間にかプレイ時間が200時間を超えてたりするわけだ。

特に目的意識もなく惰性で金策放置とかやるようになると末期症状もいいとこなので、そこまで堕落してしまった場合は、放置中にときおり画面を見ながら換気扇のフィルターを洗浄したり、便所や風呂場の掃除とかやればいいと思うよ。
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