14 people found this review helpful
9 people found this review funny
Not Recommended
4.1 hrs last two weeks / 454.7 hrs on record (6.0 hrs at review time)
Posted: 8 Oct, 2021 @ 7:00pm
Updated: 12 Oct, 2021 @ 4:14am

Arma 3とは、シリーズを重ねるたびに改悪を続けていったゴミ山のまさに頂点に達した存在である。もしあなたが本作に関して「普通のFPSとは違う、リアリティを追求した作品」などという評判を聞いたとしたら、そんなものは信じなくていい。本作はリアルなんかではないし、リアリティを感じさせる体験を提供してくれるものでもない。
AIや操作性、物理演算といった改善すべき点はすべて改悪され、各制作部門の間でまったく連携が取れていないのではないかと思われる作品全体のバランスの欠如と、貧弱なベース・コンテンツに、苦痛なゲームプレイ。なかでも最悪なのがキーコンフィグで、新たにアサインしたキーが機能しなかったり、デフォルトのキー設定を削除しても機能が残り続けたりと、インディーゲームでもそうお目にかかれない不具合が存在している。そのため望まぬ機能同士が重複することが珍しくなく、自分好みにカスタマイズすると障害物を跨ぐと同時に武器の発射モードが切り替わったり、航空機の使用火器を変更すると同時に勝手に機体から飛び降りるといった、とんでもない問題をユーザー自身で解決することができないのだ。
ゲームシステム自体も、相変わらず基礎設計が初代OFPから見直されていない…いまや自分達ですら理解していない先人の遺物を過度にデコレーションした結果、Arma 3はWW2の戦車に追加装備を山のように継ぎ足した醜怪な巨人と化している。それは渡河キットを備えているが重量のために水没し、爆発反応装甲はその威力で戦車自身を破壊するだろう。
時代遅れのシステムの改修(あるいは、よりエキサイティングなマルチプレイ体験)という名目で、プレイヤーにのみ不利に作用する視覚効果や諸要素を山のように積み上げた結果、AIとの戦闘がチーターを相手にしているとしか思えないアンフェアなものになっている。
僅かな痕跡からたちまちプレイヤーを発見してくるシリーズ随一の非人間的な検知能力と、視界を完全に塞がれるはずの草叢から無倍率サイトを使って5.56mm口径のカービン銃で300m先から正確無比な狙撃をしてくる神業的射撃精度を備え、防弾装備で耐久力が向上したことにより被弾しても僅かにのけぞるだけで平然と戦闘行動を続けるターミネーターのような敵兵士を相手にしていると、「俺はいったい何と戦っているんだ…?」と自問せずにはいられない。本作のAIは旧Spec Opsや初期Rainbow Sixのような前時代的インチキ超性能に輪をかけた不細工な戦闘兵器と化している。
初代OFPでは最低限の目立たない行動を心掛ける限り「まともな銃撃戦」が可能なバランスであり、Arma 1/2ではAIの難易度設定を下げれば射撃精度や検知能力を大幅に下げることが可能で、勢力別の調整も可能だった。しかしArma 3はすべての勢力のAIを一括して変更するしか選択肢がなく、射撃精度や戦術的行動の可否を調整することはできるが、どれだけ回避や撹乱行動を取ってもまっすぐこちらを追跡し、射線が通っていない状態でも銃弾を撃ち込んでくる超常的検知能力を下げることはできない。
そしてプレイヤーは情緒不安定な子供のように常に視界がグラグラ動き、銃を構えれば伏射姿勢であっても二日酔いのアル中のように狙いがブレ、負傷すれば次ミッションまでAV男優のような気色悪い呻き声を延々あげ続ける。雑な地形と敵兵の姿を覆い隠す一面の草叢に、視覚障害でも患っているかのようなFog効果が索敵を著しく困難なものにする。
三人称時の視点も(自分はあまり使わないが)、カメラ位置が下がりすぎで常に操作キャラクターが画面の中心を塞ぐ改悪ぶりで、特に車輛操作は困難を極める。
Arma 2が酷い内容だったのであまり期待はしていなかったが、それでもまさか、本作がこんなにもグラフィックが綺麗なだけの出来損ないだとは思わなかった。失望しかない。もし本作が「Arma」の名を冠していない単発タイトルだったら、どれだけの評価が得られたというのか?本作に評価されるべき部分があるとすれば、それは優れた技能を持つModderと根気強いシリーズファンという、コミュニティの存在のみだ。
プレイすると不満だけが鬱積し、不具合とも呼ぶべき仕様を改善するためのMODをWorkshopから探すためにゲームを中断すること幾度か。Bethesda製のゲームでさえ、こんな惨めな思いをしたことはない。Addonを一切導入していない状態のOFP 1.0ですら、これよりはまだマシだった!いまや有志に頼らなければまともにプレイすらできないゲームしか作れない現Arma制作陣は恥というものを知るべきだろう。かつての「コアゲーム」は「コア設計に欠陥のあるゲーム」となり、そんな代物に山のようなMODを入れて楽しもうという気も起きない。
Arma 1からマルチプレイ偏重のバランス調整を行う傾向があり、そのたびにシングルプレイでの体験が大きく損なわれていたが(草が描画されない遠距離ではキャラクターが半分地面に埋まった状態で描画されるという、とんでもない妥協案がまさか一切改善されず現在も使われ続けているとは思わなかった)、そういったことを10年以上続けた場合にどのような「パーティゲーム」が誕生するかという結論がこのArma 3である。こんなものを、もはや軍事シミュレータなどと呼ぶことはできまい。
Was this review helpful? Yes No Funny Award
Comments are disabled for this review.